[コラム] 廉価グレードの軽自動車をキーレス化

※本記事は初心者が初心者向けに自分の活動を紹介するものであるため、取り付けの参考にはならないと思います。

背景

私の愛車、ダイハツ・エッセ ECOは最廉価グレードであるため、キーレスエントリーはおろか集中ドアロックすらついていませんでした。

つまり、例えば外から後席のドアを開けたいときは

  1.  鍵で前ドアを開錠
  2.  後ドア車内側に手を入れてドアロックのノブで開錠
  3.  後ドアを開ける

という手順を踏まなければなりません。

これではさすがに不便なので、汎用キーレスキットの取り付けを行いました。


製品概要

今回取り付けた製品は、TOP キーレスユニット + YUNDA ドアロックアクチュエータ のセットです。

箱絵は、これが車DIY初心者にとって危険なおもちゃであることを暗示しているのでしょうか(?)

開封の儀。

キーレスユニット本体、アクチュエータとその駆動用リレーボックスで構成されています。

アクチュエータはDCモータでラック・ピニオンを駆動する方式です。

4本のうち1本が(何らかのセンサで)ストローク終端(伸/縮)を検知するマスターとなっており、運転席ドアを手動でロック/アンロックした場合にそれを検知して他のドアのロック状態を合わせることができます(が、機能をよく理解しておらず助手席に付けてしまいました)。

ところで、コントロールユニットに貼り付けてあるこのシールは、2020/11/10に検査をパスしたという意味に取れますが、どうなのでしょう?

というのも、これが届いたのは2020/10/14なので…。

内容物としては上記オーパーツに加え、リモコンキーが付きます。


配線

自動車用電源について

配線に関して説明するにあたり、自動車用の電源について簡単に触れておきます。

一般的なガソリン車の場合、ソースとしての電源は12Vの鉛蓄電池ですが、通電するタイミングによって以下のように使い分けられています(キーを捻って操作する場合)。

・常時電源:常にバッテリーと接続

 ブレーキランプ、ハザードランプ、ホーンなど

・アクセサリー電源:キーがACCの状態で通電

 電動格納ミラー、シガーソケットなど

・イグニッション電源:キーがONの状態で通電

 ワイパー、パワーウインドウなど(電力を食う電装品)

・イルミネーション電源:ライト点灯で通電

 各種ライト類

また、各電源線はエンジンON/OFFやライトON/OFFを検知する信号線として使われる場合もあります(例:ナビ画面の照度切替)。


キーレスキットの配線

今回の場合、コントロールユニットは常に待機状態である必要があるため、常時電源を使用します。

ナビ取り付け時に接続したオーディオハーネス(車両側ハーネスとナビのハーネスの変換用)に常時電源の口が余っていたのでそこから取っています(ちなみに、このナビは常時電源、アクセサリー電源、イルミネーション電源を使用しています)。

他にはヒューズボックスから取るなどの方法があります。

アース線はクワ型端子を付けて車体金属部のボルトに挟みこみます。

ちなみに、慣例的にアースと言っていますが、接地していないので単なるGNDのような気がします(?)。

言うまでもないですが、この写真は動作確認をしたときの仮止めの状態です。

普段からこんな配線むき出し、テープベタベタで走っているわけではありません(笑)

各ドアへの配線の引き回しはそれなりに頑張りましたが詳細は割愛します。


アクチュエータ取り付け

※説明のため、一部左右反転させている画像があります。

この車種の場合、ドアロックのノブで針金を伸縮させ、ドア後端のロック機構(構造はわかりませんが)を動かす構造となっています。

そこで、アクチュエータで針金を介しノブを回転させる方式を取ります。

運動の伝達経路としては、アクチュエータ→針金→ノブ→針金→ロック機構 となります。

アクチュエータの固定にはダイソーのステンレスフリーステーを使用します。

(ねじ類を除き、今回取り付けに使った部品の多くはダイソーでの購入です)


伸縮運動の伝達には自転車用のブレーキワイヤのアウターケーブルに直径1.2mmのステンレス針金を通したもの(academic な言い方をすれば Bowden cable)を使用します。


ノブ側は針金の先端をUの字に曲げて引っ掛けました。

アクチュエータ側はロッドと針金をなるべく同一線上に配置するため、MDF板をレーザー加工で切り抜いたものを積み重ねてスペーサとし、その上にアウターを乗せるようにして固定しました。

針金はロッドの穴に通して巻くように曲げてあります。

アウターは、ずれないよう耐候性結束バンドできつく締めてあります。

ステーは、既存の穴が流用できる場所はボルトナットで、流用できない箇所はドアパネルにドリルで(恐る恐る)穴を空けてトラスタッピングねじで固定しました。

(内張りと干渉しない取り付け位置を探るのに苦労しました)

↓全体の外観です。


ハザードアンサーバック配線

リモコン操作に応じてハザードを点滅させます。

助手席側のグローブボックスを外すと奥にヒューズボックスがあり、そこに挿さっているコネクタに左右のウインカー線が通っているので、それらにコントロールボックスからの線を割り込ませました。


動画


所感

このような汎用品の取り付けは決まった正解があるわけではなく、現物合わせで取り付け方法を模索するところがあり、その点で難しさを感じました。

実用面では格段に便利になり、キーレスの恩恵を実感できる作業でした。


この記事を書いた人

メカトロ同好部 エルチカ

本団体は、電子工作が好きな人の集まりです。 主に愛知県周辺のメイカーイベントに出展していたりします。 本サイトは、作品紹介やコラムなど掲載しております。

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